「夢として忘れないように持ち続けていきたい」
村井知事の答弁のことばである。
およそ、議会における言葉として、これほど酷いものは聞いたことがない。責任を全面的に回避し、自分に都合のよいフレーズを用いているに過ぎない。こういった言葉遊びをするのは、自分に何も考えがない証拠である。
村井さんは知事としての資質が欠ける面が多いように思っていたが、やはりそうであった。むろん、前の知事の浅野さんでも成りたてのときは、自分色を出すのに懸命で、政策が二の次になっていたのは否めないが、村井さんの場合は「公」と「私」の区別のつかない、まだまだ赤ちゃんであり、そんな人が危うい宮城県号の舵をとっているかと思うと、やるせない。
上記の言葉がなぜ問題か、といえば、夢を語るのは個人の自由であるが、宮城県知事としての公的な立場において「夢」というのはありえない話なのだ。公的スケートリンクの設置を要望する側はまさしくそれが「夢」であるのは確かだが、税金の使い方を議会にうかがってそれを執行する立場の人間は、夢の実現が可能かどうかを考えさえすればいいはずで、「夢」を語る資格は、少なくとも議会の場ではありえない。
小泉首相の談話がよく持ち出されるが、注意深く聞いているほうがよい。議会の中で、村井知事が言うような「夢」の話をすることはない。外での記者とのやりとりで、そうした発言をするように気をつけているのがよくわかる。
すなわち、議会と、その他を明確に意識して分けているのだ。
残念ながら、村井さんにはそうしたものはなく、資質もない。
こうした知事を選んでしまったのは宮城県民だが、ほかに選択肢があったか、というと黙ってしまうことも確かだ。
さて、公的スケートリンクの話。
「利府なんでも掲示板」に世間で、賞だ!賞だ!と騒いでいる頃に書いたように、ことの発端は2004年12月にさかのぼるのだ。
−−−−−− 毎日新聞のサイトによると、
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/ miyagi/news/20041125ddlk04040264000c.html
(現在はこのURLはない)
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仙台・スケートリンク閉鎖問題 藤井市長「断念せざるをえない」 /宮城
 仙台市の藤井黎(はじむ)市長は24日の定例記者会見で、多くのフィギュア五輪選手を輩出したコナミスポーツクラブ泉(仙台市泉区)のスケートリンク閉鎖問題について「将来ビジョンが立てにくく、市の財政援助を断念せざるを得ない」と述べた。市は運営会社のコナミスポーツ(本社・東京)が市の存続要請を断ったため、支援断念の方針を決めていた。
 藤井市長は、断念の理由について(1)コナミ側が閉鎖の延期を拒否している(2)施設が老朽化している(3)施設を所有する大手スーパー「ダイエー」の再生計画の見通しが立たない−−などと説明。所属選手については、市内の別のスケートリンクで練習できるよう支援したいとの意向を示した。【石川貴教】
毎日新聞 2004年11月25日
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とのことで、この動きがベースとなって今回の話につながっている。
宮城スタジアムはつぶせ!宮城野陸上競技場はつぶすな! と、再三再四、私が主張してきたことのベースは何か、といえば、そこを使う人がいて、スタジアムが競技場が生きているのながら残すべきなのだ。
少なくともスポーツ施設に、形骸化された記念碑は要らない。
じゃあ、フィギュアスケートがどうか、という問題がある。
ほかのスポーツに比べて厚遇するのかどうなのか。
今は厚遇してもいいだろうし、十分にそれを受けもち、そして責任をまっとうするような民間の受け皿が十分にあると思っていい。
施設を新たに作るのならば問題も大きいが、そこにある民間施設を100%サポートするかどうか、という話なら、少なくとも、もう一度話し合いを再開する姿勢は見せてもいいのではないか、と思う。
一方で、プロ野球やプロサッカーにお金を出していて、完全なアマチュアにお金を渋るような、あるいは、そう見える状況は、生涯スポーツを考える宮城県にとっては、好ましくない。
「夢」を語る資格のない者が「夢」の話をして話を摩り替える。
こういう愚か者はトップにいるべきではない。