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基調講演13:00〜14:00
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「ワールドカップがやってくる」
松本 育夫(サッカー解説者、元川崎フロンターレゼネラルマネージャー)
基調講演の概要:
1958年のスウェーデンとブラジルの試合を見て、これが世界のサッカーだという漠然とした感じを得た。
ワールドカップを自分の目で確認してきた。
テレビを見た方から、これが世界のサッカーだ!と叫んだ。これですよ、これ、と言った。これが縁でおつきあいをさせていただいている方もいる。
とりあえずワールドカップのさわりを話したい。
なぜ、これほどまでに盛り上がるのか。
野球の場合、ランナーが出たとき、この選手を返したいというのは選手が考えるのではなく、監督が考えるものである。点の取り方、戦術を考える。
人から与えられたものをその通り再現して、点をとる、ということをする。そういうものが多かった。
サッカーは違う。ゲームが始まって終わるまで、選手が自分で表現する。それがすばらしいことなんだ。人間にとって、これほど重要なものはない。それをサッカーが教えてくれる。
サッカーという一つのスポーツは、そのボールを持った人間の表現である。だから、必ず国民性が出てくる。
日本と韓国のサッカーに大きな違いがある。
国民のものの考え方の違いが、サッカーに出てくる。出生以来の、気候、風土、教育、家庭など、違った文化の中から出てきた選手が表現するのだから、当然違ってくる。
また、その違いが国民の違いを見せてくる。
ブラジル。
4年間貯めたお金のそのとき全てはたいてしまう。
スペイン。
闘牛とフラメンコの文化。それは局面で激しいサッカーをする。ドリブルとか、たくましい闘争心とか。国内では強いが、海外に出ると。。
フランスはどうか。
中盤というのがすばらしい。リズムに乗ったサッカー。
スペインのチームよりも無駄のないサッカー。ハーモニー。
それがワールドカップ優勝に導いた。
スペインとフランス。ずいぶん違うな、と思うでしょう。
ドイツ。
ゲルマン民族の戦う姿。ぶきっちょでも、理論と精神的な強さがある。
隣同士の国で、どうしてサッカーが違うのか。
生まれた瞬間から人間を育成した環境が違うのだ。
ワールドカップとは、自分たちの文化が世界に勝てるのか。つまりサッカーではなく、文化の戦いなのだ。
サッカーというのは文化というものを反映した唯一のスポーツだろう。
宮城には、メキシコ、エクアドル、スウェーデン、アルゼンチンがくる。それぞれの国の文化がくるだろう。
3つのおめでとう。
1つは雅子さまのご出産。2つめは、ベガルタ仙台の昇格。3つめは、イングランドが来ないこと。
ワールドカップの思い出を話すとキリがないが、ペレを見たとき、こんなすばらしい選手がいるのか、と思った。
だれが監督・コーチで指導してもつくることはできないだろう、と思った。1982年のマラドーナまで、こういうスーパースターがいた。ベケンバウアー、クライフなど。
86年から出てくる選手は、人に教えられる時間が多いために、生まれたときのものが変わってしまっている。指導者によって育てられたスーパースターなのだ。
印象に残ったゲームは、1966年北朝鮮がイタリアが1:0で破った。3位のポルトガルと対戦した、前半3点リードした。
これは大変だと思った。
決勝戦のドイツとイングランドの試合。
微妙なゴールがあった。ソ連のレフェリーが点にした。
このときまで、ガレッチャーズ、ペレ、ザガロのブラジル。
4−2−4というシステムで戦っていた。
これに勝つために、ドイツはベッケンバウアーを中心にシステムをつくった。
1974年プライフ中心のオランダは、世界のサッカーを変えた。
それまで背番号とポジションは決まっていた。が、このときから、ポジションは変わるが、システムが変わらない、という、トータルフットボールというのが出てきた。
ポジションということの考え方から、オールマイティのスペシャリストが要請されている。
特に秀でたスーパースターがいなくなった反面、11名全員のスキルがあがって、非常に高い技術を見せてくれる。
そういう変化があった。
70年のサッカーの歴史があって、優勝したのは、わずか7カ国である。その7カ国がサッカーを作ってきた。
ドイツ、イングランド、フランス、イタリア、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ。
2002年はやはりこの7カ国から優勝チームが出るだろう。
闘争心、国民のサッカーをサポートする偉大な力。
サッカーのファンとしては、昔のわずか16チームよりは、32チームが出てくる方が面白い。
人間として生まれてきて、なぜこんなに違いがあるのか、という思いが、テロの根底に流れている。
日本というものを理解していただき、日本民族が世界にどう心を提供できるか、それがワールドカップで非常に重要である。
宮城県のサッカーの好きな方々が、来てくれる人にどう貢献してくれるか、それが重要だ。
昨日の抽選が注目された。
韓国がいろいろ工作しているようなことを言ったが、実際はそうではなかった。
ブラッターが言ったことがある。
日本はいったいどことやりたいのか、と言った。
抽選をやったら、言った通りのようになった。
が、韓国の組み合わせをみたら、それはないだろうとほっとした。
A:1位フランス、2位デンマーク
スピード、グランドの状況(欧州に
B:1位スペイン、2位スロベニア
C:1位ブラジル、2位トルコ
H組の勝敗をみながらくるかも<ブラジル
D:1位ポルトガル、2位が難しい。韓国がポーランドとどういう戦いをするか。韓国が何とか勝ち抜いてくるか。
E:1位ドイツ、2位カメルーン
F:1位アルゼンチン、2位イングランド
最激戦地。優勝するチームは予選リーグでは力を出し切らないようにするから、戦い方が難しい。
G:1位イタリア、2位クロアチア?
H:1位日本
勝敗はやはり甲乙付けがたい。日本のチームだけは120%で戦う必要がある。7カ国は相手の顔を見ながら、他のグループを見ながら戦うことができる。はやり第一戦のベルギーが問題。中盤から前という、日本のサッカーをいかにやれるか、ということが勝利につながる。
ワールドカップは通常、開催国が有利だ。
欧州では必ず欧州。南米では南米。
ニュートラルな国で開くということ。
グランドピッチの状況が左右するだろう。
気候の問題。大分など南の地域での蒸し暑さを克服できるチーム。
どんな結果が出るか、非常に楽しみだ。
ワールドカップいろんなことがある。
楽しみ、すばらしさ。。。。
あと6ヶ月の情報収集が必要でしょう。