スタジアムボランティア制度

宮城県内あるいは全国のスポーツ施設を縦断的に管理・運営するような体制や、空いている施設使用の促進を 目指すような組織の確立だけでなく、各施設に特化した組織の確立を目指すことも必要で、思いもかけぬ利用法やアイデアを生むためにも、施設設置者とは別の組織にすべきでしょう。
その中でも、各施設に精通したボランティアの育成が最も重要です。たとえば、グランディ21に特化したボランティアは施設の中身の把握はもちろんのこと、周辺の事情や交通アクセス、あるいは物品の調達などの情報を持ってそ れを有機的に生かすことができ、かつ、あらゆる使用者のニーズに応えることができることが求められるでしょう。このようなボランティアは、イベントや各種大会のときに積極的に参加してもらい、観客へのもてなしという部分でも 生きてきます。反面、スポーツに特化していないので、特定のスポーツへの補助はできませんが、「みる」スポーツや「かたる」スポーツを実践する人への強力なサポーターになります。
このように、スタジアムボランティアはいわゆるスポーツボランティア(ある種のスポーツに特化して競技する人の支えとなるボランティア)とは違い、施設に特化したボランティアであるべきで、それ以上のものを要求しないようにします。たとえば、目が不自由な人がトラックを走りたいという場合には、それ専門のスポーツボランティアあるいは専門家が対応すべきであって、スタジアムボランティアはそのスポーツボランティアあるいは専門家への橋渡し役をします。
むしろ、老人や障害者によるスタジアムボランティア参加こそ、必要です。これが実現すると、今まで「する」スポーツが先行して議論され、ともすれば置き去りの感のあった障害者スポーツの興隆を果たすことができるものと思われます。障害者スポーツはスポーツをしてこなかった健常者が参加しやすいものを含むことが必要で、ゲートボール等のスポーツをしたこともない老人も楽しむことができるようなものを考えるべきでしょう。一方で、そういうスポーツを「みる」「かたる」部分の仕掛けの充実も必要で、「みる」「かたる」部分から「する」スポーツに入る入口の敷居をできるだけ低くすることが肝要に思います。
「みる」「かたる」スポーツを支える、スタジアムボランティアには、この辺の意識を持って貰い、あるいは自らが容易に「する」スポーツに入ることができるためには、どうしたらいいのか、常日頃から意識することも必要でしょう。そうしたスタジアムボランティアのためにも障害者スポーツの充実が必要と思われますし、スタジアムボランティアがボランティアに従事していない時間帯に気軽にスポーツを「する」ことができるようにすべきでしょう。

なお、宮城スタジアムボランティアについては、キックラブ・アクティブがその実現に向けて、課題に取り組んでいます。

地域住民カンファレンス

宮城スタジアムを含むグランディ21各施設の積極的な利用はイベントや各種大会の開催が不可欠となりますが、こ れは逆に地域との軋轢を生み、ひいては地域から敬遠される要因を作ることにもなり得ます。地域住民から愛されない施設はやがて誰も利用しなくなる可能性すらあります。地域住民との協議はこの点、絶対に欠かすことはできないので、そうした協議の場を作っておくことが必要です。
各施設の設置者や管理者、運営者はもちろん、上記スタジアムボランティアやスポーツに特化したスポーツボランティア、それに行政が同じテーブルについて、当該施設の運営・管理などあらゆることを協議します。各施設の設置者、管理者、運営者は各施設の内側は詳しい反面、外側については知らないか無頓着であることが多いので、スポーツ振興により施設の利用が多くなると地域との軋轢を生む可能性が高くなります。
地域住民はその地域については非常に詳しいので、彼らとの協議は必要不可欠となります。スタジアムボランティアは各施設に精通すると同時に施設の外の情報も精通すべきであり、こうした地域住民との協議の中でそれを学んでいきます。こうして訪れる人から発せられる質問、疑問の中で、スポーツに関すること以外については、的確に答えることのできるスタジアムボランティアが育成されます。
また、地域住民からこそ、スタジアムボランティアを育成すべきでしょう。住民による施設への愛着心をはぐくむだけでなく、積極的な利用促進と、地域スポーツ興隆につながります。すでに種々のスポーツ団体、スポーツ少年団など がありますが、それらはスポーツに特化しており、逆にそれら団体に入らない人への大きな壁となっている現状があることは確かです。老人や障害者がスタジアムボランティアとなって、施設を支えるようになれば、スポーツが「す る」だけではなく、「みる」「かたる」という部分もあるのだ、とわかりますし、世代を超えた交流も可能となるでしょう。
こうして地域住民全体が宮城スタジアムを含むグランディ21を支えるようになると、おらが町のスタジアム、ということでいろんな場面で強力なサポーターになります。一方、これがひいては、既存のスポーツ団体とは別のルートからの地域スポーツ育成につながるものと期待されます。

なお、地域住民との協議については、グランディ21連絡協議会設置など、具体的な動きがあります。

交通アクセス改善

箱物だけを作って、さあ利用せよ、というのは、いかにも行政らしい考え方ですが、それでは誰も利用しません。箱物に至る方法、仕掛けも箱物を作ることと同様に重要です。270億円をかけて宮城スタジアムを作ったのなら、本当 は同じだけの金額をかけて交通アクセス等の整備をすべきでした。それをしないのは行政の怠慢と言われても仕方がありません。
つまり中途半端なのです。県道総合運動公園岩切停車場線が利府街道県民の森入口まで片側2車線で通っているのに、その先、岩切駅までの道が未だ開通されていません。ここを早期に開通させ(もちろん片側2車線)、常にシャトルバスを走らせる必要があろうと思います。さらに、その一方で、誰でも利用できるグランディ21をめざし、トラム、LRTや路面電車の軌道を通し、老人や障害者も利用できるように改善すべきです。
LRTですと、JRへの乗り入れもできなくはない、ということで、イベント等のときに、仙台駅から直接グランディ21まで乗り入れというのも可能になるかもしれません。
ある試算によると、1kmあたり15億円という費用で可能となります。グランディ21まで5kmとすると、75億円。
この費用が高いかどうか、議論の分かれ目でしょうか。
ただ、何もしないでいると、年間3億円の維持費が宮城スタジアムに、グランディ21全体だと10億円以上の維持費がかかります(グランディ21全体の収入はおおよそ6500万円程度)。