2010/11/03
スポーツコミッションって知ってる?
 スポーツコミッション(SC)とは、スポーツを重要産業と捉え、スポーツに特化して都市マーケティングを担う専門組織、と日本初のスポーツコミッション設立へ向けての関西経済同友会が言っている。
 ただ、この定義、スポーツをする、みる、ささえる 者にとっては、ちょっと違和感を感じる。「重要産業と捉え」るのは勝手だが、産業ではないでしょ、という突っ込みを入れたくなるのは私だけか。
 一方、この「スポーツコミッション」、商標登録されているのは知ってる? 昨年設立された、一般財団法人「日本スポーツコミッション」が登録しているのだ。その『登録商標「スポーツコミッション」の使用について』を見ると、『上記の組織による公益活動が阻害されること、ならびに過度に商業主義的な活動に使用されないように』とある。上記の組織とは、『スポーツを活用したまちづくりや地域づくりを推進することによって地域の活性化を図るという目的を達成するために地域において設立された組織、ないしは当該組織』を指すようだ。
 でもスポーツコミッションはそんなに、“儲け”につながることなのであろうか?関西経済同友会が提言したのは、2007年5月の話であった。 「IAAF 世界陸上2007大阪」が行われる直前の話だったが、その後設立されたという話はとんと聞いていない。
 きっと“儲け”につながらないから、急速にしぼんでしまったのではないか、と思う。スポーツを直球で産業と捉えると、特に日本では種々軋轢を生む。特に日本体育協会や、学校スポーツはそういう商業主義を忌み嫌うのではないか。
 日本では、スポーツはどっちかというと、文化・芸術に近い感覚を持つのではないか。市民会館や県民会館に、クラシックの演奏会にいき、マンマミーア(笑)を見に行ったり、あるいは近くの文化祭に展示物を見に行ったりと、そういう感覚に近いものを日本人は持っているのではないだろうか。そうすると、“儲け”という感覚からはほど遠い。
 だから、たとえば、スポーツ少年団でコーチをやっている人の報酬問題は基本的に無視されたり、ボランティアということばは無報酬であると、一方的に勘違いされたり、と、産業、経済とはほど遠い状況だ。
 はたしてスポーツは儲かる産業になるのか、そこへの道のりとしては、最初にこうしたスポーツに関してボランティアとして働いてきた人たちがどうやって生計を立てることが可能なのか、を、きちんと真面目に考えないといけない。
 つまり、スポーツに関わるボランティアの線引きの作業こそ、スポーツコミッションが現実になるときには、本当に必要な作業ともいえる。総合型地域スポーツクラブはあちこちに設立されているが、果たして存続は大丈夫か?お金をもらうところを、お金を出してはいないか?
 そこのところは自民党さんの「スポーツ立国調査会」はどうお考えなのだろうか。山形選出の議員、遠藤さんのHPの中に、国家戦略としてのトップスポーツ、という記事がある。ここに「スポーツ立国調査会」の主な意図があるように見える。一般の人がかかわれそうなところが・・・ない(笑)。だから、スポーツは文化、芸術にとどまってしまうのである。ドイツのスポーツシューレのような総合型スポーツクラブが実現しないのは、「スポーツは未だお金を出してやるものではない」的なことや、「スポーツの指導やお世話、お手伝い」にお金をだすものではない、的なことが、私たち日本人の根底に流れている。
 敢えていおう。
 日本体育協会が音頭を取って、スポーツコミッションを進めたら、きっとうまくいくのではないか。そのためには、まずは国体を商業化させないと、たぶん、何も変わらない・・・ 
 たとえば国体のボランティアをやったら、職にありつけました・・・などと。
(2010/11/3 文化の日に)
ちなみにcommissionとは「委託」とか「代理業務」とかいう意味がある。ゆえに、sports commisionはスポーツイベントの委託業務という意味なのであろう。