宮城スタジアムのその後問題〜報道状況〜

2002/06/30現在
読売新聞 朝刊全国版2002/06/29
http://www.yomiuri.co.jp/wcup2002/special/excite/excite.htm

熱狂そして

[2]残された巨大“お荷物”

  •  「わずか3日のアバンチュールのような熱狂で、朽ち果て忘れ去られる運命なら、いっそ壊してしまえ」
  •  日本代表の最終戦など3試合の会場となり、脚光を浴びた宮城スタジアム(宮城県利府町)。「でも、こんな声もあるんです」と地元住民のW杯対策協議会事務局長、村松淳司さん(43)(東北大教授)は嘆く。
  •  収容人員4万9000人の同スタジアムは、宮城県が270億円を投じて建設した。2000年3月に完成し、W杯では計13万7000人の観衆を集めた。しかし、今後の活用策は暗礁に乗り上げたままだ。
  •  年間の維持費は3億円。これに対し、収入見込みは、体育館など関連施設を含めても6500万円に過ぎない。W杯後、満席が期待できるのは、9月に予定されている人気グループ「SMAP」のコンサートだけ。Jリーグのベガルタ仙台も、隣接する仙台市の仙台スタジアムが本拠地だ。こちらも5年前に市が建てたばかりで、移転は難しい。
  •  最寄り駅から5キロという交通アクセスの悪さもネックになっており、高橋稔・県教育庁スポーツ健康課長は「黒字化は当分見込めない」と苦渋の表情を隠さない。仙台市民オンブズマンの庫山恒輔事務局長は「建設時からわかっていたこと。公益性、公共性、費用対効果の事前検証が不十分過ぎた」と批判する。
  •  同県は1952年の国体開催後、施設の借金返済に苦しみ、7年間、民間企業の倒産にあたる「財政再建団体」に転落した苦い経験がある。今回も、職員の給与カットをする深刻な財政難に、スタジアム建設費などが積み重なっていく。借金である地方債残高は、今年度末見通しで過去最悪の1兆3189億円に達する。「今度はW杯で再建団体転落か」。そんなささやきも絵空事ではない。
  • 自治体財政 強く圧迫
  •  もちろん、W杯が各地に残した財産も少なくない。
  •  各首長は、「国際交流が進んだ」(平松守彦・大分県知事)、「県のイメージアップになった」(橋本昌・茨城県知事)とメリットを強調する。
  •  「総額4550億円の経済効果」(住友生命総合研究所)が、地域にもたらした恩恵もある。開催地で2万4000人が参加したボランティアは、ネットワーク化など将来の活用が期待でき、こうしたW杯効果も見逃せない。しかし、何と言っても自治体が最も真剣に検討すべきは、“宴(うたげ)”の後の巨大施設の活用策だ。
  •  今回のW杯では、宮城、新潟、埼玉、静岡、大分県と札幌、横浜、神戸市が、96年5月の日韓共催決定後、W杯仕様のスタジアムを次々に新設した。茨城県と大阪市は既存施設を改修した。10競技場の総費用は約3000億円。しかし、宮城同様、W杯後は大半が赤字運営は必至で、赤字総額は少なく見積もっても年間25億円に上る。
  •  巨大スタジアムが全国に乱立した背景には、景気対策の“追い風”があった。
  •  宮脇淳・北海道大法学部教授(財政学)は「90年代後半は、国が、景気刺激策として地方に財政出動を求め、公共投資を拡大した時期」と指摘。「国が様々な優遇措置で後押ししたこともあり、自治体の側も(費用対効果を)十分検証せず、議会のチェックも甘いままだった」と分析する。
  •  実際、大半の施設整備では、国が、自治体の借金である「地域総合整備事業債(地総債)」を積極的に認め、後で元利償還分の30―55%を地方交付税として自治体にバックする形をとった。例えば宮城の場合、建設費270億円のうち地総債220億円など計240億円が起債で充当され、国が100億円を交付税で肩代わりする。「W杯ありき」で突っ走った自治体と、「景気対策」「国家的プロジェクト」の名目のもと、「ハコ物行政」を促進した国の思惑が一致し、建設ラッシュに拍車をかけた。
  •  苦しい運営に加え、巨額の投資は、国と自治体双方の財政を圧迫する。開催10県市の地方債残高は総額17兆7000億円。過去最悪の水準だ。今後、住民サービスの低下という形でW杯のツケが回る懸念さえある。
  •  施設の収支と活用策について、自治体には住民への説明責任があり、住民の側もコスト開示を求めるなど監視を強める必要がある。
  •  活路はあるのか。W杯と地域振興の関係を研究している日本システム開発研究所の木田悟・国土計画研究室長は「各スタジアムを真の意味の『インフラ』(社会資本)に育て、スポーツ文化の拠点として整備するしかない」と提言する。
  •  巨大施設を単なる「W杯記念碑」に終わらせない知恵が、自治体、住民の双方に求められている。
読売新聞 宮城県版2002/06/23
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/kikaku/020/1.htm

ポストW杯 宮城の課題

維持費ズシリ 年3億円弱(1)

  • イベント収入は小額
  •  W杯決勝トーナメント・日本―トルコ戦が行われた十八日のJR利府駅。増発された東北線から降り立った「ジャパン・ブルー」の一団は、降りしきる雨の中、係員に誘導され、次々とバスに乗り込んだ。W杯グループリーグで初めて挙げた勝ち点と勝利。さらに未知の領域である決勝トーナメントに臨む「トルシエ・ジャパン」と一体感を強める日本代表サポーターの興奮は試合前、いやがおうにも高まった。それでも四万五千人超の観客は、大きな混乱もなく、整然と宮城スタジアムに吸い込まれていった。
  •  スムーズな観客誘導の決め手はシャトルバスを使った輸送計画だった。その数四百五十台。県W杯推進局は福島、山形、岩手県からもバスを集めた。JRの利府、国府多賀城、多賀城に仙台市営地下鉄泉中央を加えた計四駅などからのシャトルバス輸送にかかった費用は合わせて約一億円に上る。
  •  「W杯だからこそ可能になった」
  •  県W杯推進局担当者がこう語る輸送計画は反面、宮城スタジアムの交通アクセスの悪さも物語る。
  •  そもそも宮城スタジアム建設計画が持ち上がったのは一九八七年。昨年行われた国体の誘致がきっかけだった。
  •  利府町への建設について、当時の事情を知る県庁OBは「県住宅供給公社の分譲地が売れ残った。余った土地を活用しなければならないということで決まった」と振り返る。「当初からあった『不便な場所』という意見」(県庁関係者)は「有効活用」に押し切られた格好だ。
  •  その後の九二年七月、県議会はW杯誘致を決議。宮城スタジアム建設計画は〈1〉観客席の三分の二を屋根付きとする〈2〉座席は背もたれ付きとする〈3〉貴賓席を作る――など、W杯仕様に変更された。結果、当初見込みの建設費は百八十五億円から二百七十億円に膨らんだ。この建設費増は「県議会にもW杯待望論もあり、引き返すことが出来ない雰囲気」(県庁OB)に気おされ、容認された。
  •  ただ、仙台藩祖・伊達政宗の兜(かぶと)を形取ったW杯宮城の象徴・宮城スタジアムは、今後、窮迫する県財政の代名詞にもなりかねない。
  •  県教委スポーツ健康課によると宮城スタジアムの年間維持費用は約二億八千万円(昨年度実績)。これに対して主な収入となる使用料の実績は、オープン一年目の二〇〇〇年度が、サッカーのキリンカップ、Jリーグオールスターなどで約二千四百万円。二年目の昨年度は、使用料を徴収しない国体の夏季、秋季大会とプレ大会や全国障害者スポーツ大会しか行われなかったためほぼゼロだった。「公共施設ということもあり、黒字ベースということは、最初から考えられない」(県スポーツ健康課)という巨大スタジアムは、年間億単位の「赤字」を生み出す。これを穴埋めするのは税金だ。
  •  今年度、宮城スタジアムで見込まれている収入は、W杯を除くと、ベガルタ仙台の二試合とSMAPの屋外コンサートで計約三千万円。年間維持費のわずか十分の一にすぎない。
  •  華やかな「宴(うたげ)」が終わり、県民の目の前には、こうした現実が突き付けられる。
河北新報
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe093/spe/20011103_l.htm

スポーツ新世紀 スポーツ新世紀 国体は何を残したか

(4)施設活用/行政の企画力に期待

  • <W杯後は未定>
  •  新世紀・みやぎ国体は夏季大会と秋季大会で39競技(公開競技の高校野球を含む)が行われ、99施設が熱戦の舞台となった。宮城県と各市町村は、国体に合わせて32カ所を新設して、国内最大のスポーツの祭典を乗り切った。
  •  既存施設の改修を含めた整備費は、県と市町村合わせて507億円。“祭り”が終わった今、多額の借金と引き換えに手にした施設の維持と活用は「覚悟の上とはいえ、相当大変な作業になる」(県幹部)。
  •  267億円を投じた主会場の宮城スタジアム(利府町)は来年6月、サッカーのワールドカップ(W杯)会場となる。しかし、その後は大規模な大会の予定はない。
  •  「毎年3億円の維持費がかかるスタジアムを、赤字財政の県が持つ必要はない。W杯後は取り壊すのが賢明」。東北大多元物質科学研究所教授で、サッカー事情に詳しい村松淳司さん(42)=宮城県利府町在住=はホームページで、こう訴えた。
  •  だが、その過激な主張は「せっかくの施設をもっと気軽に使えるようにしてほしい」という願いの裏返しでもある。
  • <PRが足らぬ>
  •  宮城スタジアムのトラックを個人で使う場合、料金は半日200円にすぎない。県スポーツ振興課は「先約がなければ町内会の運動会でも個人の練習でもどんどん使ってほしい」と言う。
  •  ところが、宮城スタジアムに限らず、公共施設に関する基本的情報は、あまり知られていない。維持費だけでなく、“敷居も高い”と受け止められがちだ 「宝の持ち腐れを招いている元凶は行政のPR・営業不足」と村松さんは指摘し、「スタジアムはW杯後、芝生をはがしてコンサートに使える道を開くなど、維持費に見合った施設に性格付けを見直すべきだ」と提起する。
  •  スポーツ以外の利用については、県も「維持管理に支障のない範囲で積極的に進めたい」と前向きだ。しかし、国体で自転車競技が行われた県自転車競技場(大和町)のように、特定種目以外は利用が難しい所もある。
  •  すり鉢状になった走路は最大斜度36度。競技場から車で3分の所に住み、国体観戦に来た地元の主婦(63)は「これじゃ運動会もできない」と、総工費8億を超える巨大な建物を渋い表情で見渡した。
  • <普及の拠点に>
  •  「スケートボードの大会を開いたらどうか」「競輪を誘致したらいい」…。会場を訪れた地元の人たちからは、スポーツ普及の拠点として活用を願う声が相次いだ。
  •  施設を生かすのは、今後の使い方次第。生かしていくには、競技団体、行政そして住民それぞれに変化が求められる、という村松さんはこう指摘する。
  •  「住民には『自分たちの施設』として使っていく積極性、競技団体には多面的な利用を受け入れる柔軟性、行政には利用の道を広げる企画性。それがそろったら、スポーツ施設の価値は見違える」
  •  国体がもたらした施設の活用は、新世紀のスポーツを広げる道にもなる。
中日新聞
http://chuspo.chunichi.co.jp/worldcup/tokusyu/joso/joso4.htm

宮城スタジアム ルポ : 「宴」の後 描けぬ将来像

  •  ワールドカップ(W杯)で日本の試合会場として使用する十のスタジアムは、既存のものも含め、今秋までには北は札幌から南の大分まですべてが完成する。収容人員は最低でも約四万二千人の規模で、設備も従来とは比較にならないほど近代的。だが、その多くが都市の中心部から離れた場所に建設され、交通アクセスやW杯後の利用を危ぐする声がある。既に昨春オープンした宮城スタジアムを訪ねた。
  •  仙台市内から車で北へ三十分。特産のナシで知られる利府町の丘陵地帯に、昨年三月、県が運営する一大スポーツ施設「宮城県総合運動公園」がオープンした。総工費約二百七十億円、四万九千百三十三人収容の宮城スタジアムは公園内の中央部、太平洋を一望する位置にある。
  •  まず目を引くのは三日月形の屋根。「伊達政宗のかぶと」としてスタジアムのシンボルになっている。
  •  スタジアム内に入ると、メーンスタンドの両端に設けてある高さ約二メートルのフェンスが目新しい。同一エリアに違うチームのファン同士が交じり合わないよう配慮したW杯仕様だという。
  •  完成以来、最大の弱点とされるのが交通アクセスだ。同スタジアムは昨年、W杯を想定したビッグイベントとして、キリンカップの日本代表−スロバキア代表戦とJリーグオールスター戦を開催した。日本戦では四万五千八百三十一人、オールスター戦には三万二千百五人が観戦に訪れた。
  •  問題となったのはいずれも車の混雑だ。試合前には、渋滞でなかなかスタジアムにたどりつけず、試合後は隣接する七千台収容の駐車場から一斉に流れ出た車とシャトルバスが瞬く間に周辺の道路にあふれ、三時間以上に及ぶ大渋滞を引き起こした。
  •  幹線道路(県道・仙台松島線)がスタジアム南側に一本しかなく、交通の流れを分散できなかったからだが、生命線となる道路の工事は佳境に入っていた。
  •  公園北側の玄関口となる北部道路は、三陸自動車道の分岐点から着々と距離を延ばし、インターチェンジの造成が始まった。仙台市東部と通じる県道・塩釜吉岡線も完成に近づき、開通すれば西側からの乗り入れが可能になる。
  •  実際にかかる時間の試算はまだだが、渋滞緩和の光明は確かに見られた。
  •  宮城スタジアムで開催される試合数はわずか3試合。県が「まちづくり特別対策事業」として投じた膨大な建設費は、これだけでは到底回収できない。
  •  一万人収容の体育館、室内プールなどを含めた公園全体の年間運営費は人件費を除いて十億円。これに対し、平成十二年度の収入見込みは一億円しかない。同スタジアムの高沢善夫管理課長が顔をしかめた。「後利用? どこの自治体も苦しい。運営費のすべてを入場料で賄うのは無理です」
  •  地元のJ2チーム、ベガルタ仙台は昨季、二万人収容の仙台スタジアムで1試合平均約九千人の観客を集めた。大きな新スタジアムに場所を移して大幅な観客増をもくろみたいところだが、クラブの丹治祥庸事業課長は難色を示す。「警備員の人件費など、今の十倍の経費がかかります」
  •  収入が増えない以上、施設の維持費負担が県民にしわ寄せされるのは必至だ。図書館や美術館と同じ公共施設とはいえ、その規模に見合うだけのソフト探しは容易ではない。懸念の交通アクセスをクリアするめどは立ったものの、W杯後の施設利用については依然として白紙の状態だ。
  •  華やかな宴(うたげ)の後に襲ってくるものは何なのか。備えなくしては安心してW杯を迎え入れることは難しい−。(小杉 敏之)
読売新聞 2001/06/20宮城県版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/wcup2002/news/2001060202.htm

宮城:大会後の施設活用課題 商業施設や映画館…韓国は収益増へ着々

  •  二〇〇二年日韓サッカーワールドカップ(W杯)開催まで一年を切り、準備が具体化してくる一方で、大会後の施設維持の課題も現実味を帯びてきた。宮城スタジアム(利府町)について県は、「必ずしも収支は問題でない」(県スポーツ振興課)という立場だが、年間三億七千万円(今年度予算)の維持管理費が財政を圧迫するのは確実。韓国に目を転じると、施設内に商業施設や映画館を誘致するなど、収益を増やす工夫を凝らす例が見られ、本県など多くの国内開催地と対照を成している。
  •  「大会後」もにらみ、韓国で積極的に準備を進めているのは、開幕戦が行われるソウル。ソウル市西郊の競技場は目の前に地下鉄駅が開業し、足の便も良い。そのスタンド下の空間約五万八千平方メートルに大会後、大型アウトレットショップや十館のミニシアター、プールなどを備えるスポーツセンター、レストラン街などができる予定だ。
  •  テナント収入などで維持管理費を上回る収入が得られるとし、韓国プロサッカーKリーグのフランチャイズ誘致も検討している。
  •  準々決勝など計三試合が行われる光州の競技場にも、大型ショッピングモールや若者向けのアミューズメント施設が入る予定。年間二十億ウォン(約二億円)と見込む維持費に対し、隣接地に造成するゴルフ練習場を合わせた収入は二十三億ウォン(約二億三千万円)と、黒字になる予定だ。
  •  「韓国で赤字にならないのはソウルと光州だけ」(光州広域市の担当職員)というが、三位決定戦の行われる大邱でも、スタジアム周辺にショッピングセンターやドライブインシアター、野外結婚式場などを整備し、収益増を図っている。
  •  一方の本県。県スポーツ振興課では「スポーツに限定せず、ビッグイベントを誘致して多目的にスタジアムを活用していきたい」と話すが、今のところW杯後に大規模イベントの計画はないという。
  •  ひそかに狙うのは、人気のJ2・ベガルタ仙台の試合誘致。「もしJ1に昇格すれば、大きなスタジアムが必要になる」(同課)と読み、今後、チームと仙台市に打診するという。
  •  だが、チーム運営会社は消極的で、同市も「不便な宮城スタジアムにどれだけファンが足を運ぶか」と懐疑的。仙台スタジアムの維持に年間約一億六千万円かかるだけに、ドル箱ゲームは手放せない本音もある。
  •  県は維持費の25%の収入を目標に掲げ、「本来の目的は一般県民の利用」と“収益度外視”を強調するが、昨春のオープン以来、収入は二千五百万円と、その目標すら遠く及ばない。このままではW杯という宴のツケが、毎年の大赤字という形で県民にはね返って来そうだ。
毎日新聞 2001/04/29宮城県版
http://www.mainichi.co.jp/entertainments/sports/worldcup/worldcup/venue/0004/29-01.html

宮城/宮城スタジアム完成…国体・W杯後どうなるの?

  •  県が利府町の県総合運動公園に建設を進めていた宮城スタジアムが完成した。来年のみやぎ国体と、2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)の会場として苦しい財政下、250億円と4年の年月をかけて作り上げた大型ハコモノ事業。「日本で有数のスタジアム」の呼び声も高いが、年間3億5000万円にも及ぶ維持管理費は県の財政にとってかなりの負担。W杯後、この巨大スタジアムをどう有効に活用していくのかは大きな課題だ。
  •  宮城スタジアムは収容人数5万人の東北最大の競技場。仙台市泉区のプロサッカーJ2のベガルタ仙台の本拠地・仙台スタジアムの2万人と比べても2・5倍。延べ面積は5万7000平方メートル。段差も少ない「バリアフリー」構造で、高性能の大型スクリーンもある。国体では陸上競技やサッカー会場として使われるほか、W杯では3試合が行われる。今年もサッカーの国際試合などが行われる予定で、県は「大きな国際大会も可能。世界に宮城をアピールできる」と期待する。
  •  しかし、天然芝の維持だけでも年間7000万〜1億円近くがかかるうえ、その大きさから清掃などや管理にかかる人件費も高額になり、年間の維持費は計3億5000万円に上ると見積もられる。
  •  仙台スタジアムの維持管理費費は年間1億8000万円。同市宮城野区の県営宮城球場や宮城陸上競技場が含まれる宮城野原公園でも1億2000万〜3000万円で、宮城スタジアムの維持管理費は従来の施設の2〜3倍となる。一方、98年度の仙台スタジアムの収入は約3500万円。宮城野原公園は昨年度で約4000万円で、維持管理費が安い両施設でも年間1億〜1億5000万円の赤字が生じているのが現状だ。
  •  収入を増やすには出来るだけ利用してもらうことが必要だが、宮城スタジアムの使用料は仙台スタジアムなどに比べて高い。アマチュアが午後にグラウンドのみ使う場合は3万3500円(仙台スタジアム2万2800円、宮城野原公園7500円)。県は「今後の利用方法によるが、維持管理費が高い分、宮城スタジアムの赤字幅はさらに大きくなるだろう」と予想する。「最低でも維持管理費のうちの25〜30%の収入がないと苦しい」と話す県関係者もいる。
  •  県スポーツ振興課は「スタジアムは公共財産。収益を図るために作ったものではないが、少しでも負担を軽くしたい」と話す。「この競技場でエキサイティングなゲームが行われると思うと光栄。早くW杯が始まってほしい」とは浅野史郎知事の言葉だが、国体・W杯の「熱」がさめた後の有効な運用方法が問われている。【高山祐】

ご注意:
各新聞のホームページから引用させていただきましたが、あくまでも宮城スタジアムの今後の問題を考える上でのヒントですので、他への二次引用、改竄などは、堅くお断りいたします。
各新聞社の方へ:
本引用に問題がある場合はおっしゃってください。上でも述べましたが、宮城スタジアムの今後を考えていく上での貴重な資料です。宮城スタジアムの問題を記事にしていただいたことに、心より感謝申し上げます。

引用者: 村松淳司 [email protected]