問題点は解決されたか?
〜9・7代表戦総括〜
宮城野競技場問題=県は誠意を示せ


 9・7代表戦を総括する。
 また、一方で問題になっている宮城野原の陸上競技場問題にも触れる。

1.交通アクセスはどうだったのか?
 宮城スタジアムの問題は全てこの交通アクセス問題から始まっていると考えてよい。したがって、まず、アクセスの問題から入る。9・7の代表戦ではどうだったか。
 9月8日付けの朝刊各紙を見ると、概ね交通アクセスはうまくいったかの書き方である。その中でも最も辛口の讀賣新聞のものから引用する。

ただ、注目される代表戦とあって、やはり道路は渋滞。友人と一緒にJR利府駅からシャトルバスで来た仙台市若林区の主婦●●さん(××)は、「バスはなかなか進まなかった。また宮城で代表の試合をやるためにも、もっと交通の便をよくして欲しい」と話す。
また、
ただし、スムーズに帰ることができたのはバス利用者。バス優先のため、マイカーで来場してスタジアムの有料駐車場(2000台収容)を利用した人たちが身動きが取れなくなり、すべての車が駐車場を出るまで約2時間かかった。
とあった。
 これまで非常に辛口の批評が多かった反面、総じて今回はアクセスの問題点を絞って書いている新聞が多く、逆に言えばそれだけ改善されたのは確かだろう。
 結局、問題として積み残された、主なものは
  1. 試合開始前のシャトルバス渋滞
  2. 試合終了後のスタジアム駐車場からの出庫渋滞
の2点となる。
 実はこの2点は、以前から主張しているように、軌道系アクセスが確保されない限り解決できないのだ。試合開始前にバスが渋滞に巻き込まれるのは、自家用車が集中するからである。
 2つめの駐車場からの出庫渋滞も同様である。送り迎えの車が多数第一駐車場に殺到するから、岩切との動線と重なり、深刻な渋滞を引き起こすのである。
 結局、岩切、利府駅、スタジアムを結ぶ三角形の地帯の渋滞を根本的に解決しない限り、同じ問題は今後も永遠に続くと考えてよい。
 そんな中で、岩切駅から直線で宮城スタジアムを結ぶ新しい道路(仙台市管理)が12月にできるという。これが使えるかどうか、以下で検証する。
2.ホスピタリティはどうだったのか
 迎える側の心の問題である。これはどうだったのか。
 いろんな側面があるが、まずは、組織とその中の連携という視点から考えよう。
 まず、ボランティアサイドでは、場内外の案内誘導を主に観客に対峙した。また、N側とS側の場外では、フェイスペインティングを実施して、好評を博した。ただ、風が強く、多くの人は小走りにスタジアムの中に消えていったため、特にN側では期待したほどの人は来なかったという。風のために、テントの位置を変えて目立たなくなったことが悔やまれよう。
 JFAフットボールパークの開催や、場外での飲食物販売など、これまで焦点があたらなかった場外での観客サービスも多くなってきた。これについては特筆できるだろう。
 またボランティアサイドで実施した車椅子サポートも結構利用が集中し、全ての人に利用できなかったと聞く。宮城スタジアムが決してハンディキャップに優しいとはいえない施設であるから、こうした試みは継続的に行うべきものと思う。
 最近掲示板に弱者に優しくない、というような投稿があった。確かに2層目に席があった場合はお年寄りには相当きつい階段の連続が待っている。これをサポートするのはかなり無理がある。というのも2層目には車椅子はいけないのだ(というか、そういうことになっている)。
 6階までのエレベーターを駆使すれば2層目への車椅子はいけないこともないのだが、実際の運用は無理だろう。とすれば、そういう弱者は2層目に配置しないような配慮も必要となる。代表戦のように満員が予想される場合は、特に宮城スタジアムではそうした配慮をしつつチケットを販売するようなきめ細かな対処も必要に思う。
 決して現在のシステムでできないことはない。要はやる気があるかないか、だけ。
【鋭意執筆中】
3.雨の日対策はどうだったのか
 開場前の15:00頃、最も雨が降りやすい状態にあったのは確かである。空はどんよりと曇り、15km離れた仙台市内では雨が降っていたのである。
 そんな中、急遽、ファン・サポーターの雨宿り大作戦を実行に移そうとしていたことを私は知っている。そのことにまずは触れよう。
 10:30、みんなが待っていた試合のゴーサイン。その後の対応としては特に雨が降ってきたときにE(バックスタンド)側のスロープゲートに並ぶファン・サポーターにどう対処するか、ということだった。
 ボランティアはリーダーの中で、ちょうど総合プールがボランティアの管理になっているし、午前中の利用も終わったので、空いている状況であるので受け入れ可能と考えていた。
 そんな中、NHKニュースで、隣接する体育館に収容してもいい、ようなニュースが流れて、ボランティアに動揺が走ったのは確か。誰も聞いていない、からだ。
 この「誰も聞いていない」ことは試合が終わるまで延々と続くこととなるが、これについてはグランディ・21ボランティア委員会で纏めている報告書にゆだねたい。
 ともかく、総合プールへの受け入れ体制を整えていて、時折トイレを借りにくる人には拒まず、プール内のトイレをお使いいただいていたので、意外に外回りのトイレは混まなかった。
 雨対策に戻ろう。
 ところがカッパを売るとかそういう動きはなかったのが残念である。カップ販売体制をとることは確かにリスクを伴うが、ジャパンブルーの青色透明のカッパを用意することは、確かに重要なことだと思った。
 今後、もし代表戦があれば、無駄になってもカッパは用意しておいたほうがいいだろう。それをボランティアが販売してもかまわないのでは、とも思った。
【鋭意執筆中】

4.交通アクセス問題は完全解決されるのか?
宮城県は誠意を示せ
 上記の視点やこれまで述べてきた問題点をもとに、本当に交通アクセス問題は完全解決されるのかどうか、考えよう。
 さらに、フルキャストスタジアム宮城のある宮城野原の陸上競技場存続問題にも絡んで考えたい。
 仙台市、宮城陸上競技協会や、仙台市のスポーツ関係の団体はこぞって、宮城野陸上競技場のサブトラック存続を求めている。感情面を排除して冷徹に考えると、サブトラックを事実上廃止した時点で勝負はついてしまっている。
 いわば宮城県の温情採決にすがっている感じの状態である。まして、仙台市が楽天野球団の球場改築に待ったをかけるのは筋違いもはなはだしい。そういう状況にしたのは、仙台市自身であることを真摯に反省しないといけない。
 とはいえ、宮城県の対応はどうか。
 血や汗のある人間としての対応をしているのか、という1点にかかる。
 宮城スタジアムがあるじゃないか、と言っても全く説得にならない。その理由も宮城県は十分に知っているわけだ。
 そう、交通アクセスである。
 代表戦のような稀な巨大イベントに対しては、県をあげての対応が可能であるから、通常できないこともできるようになり、なんとなく問題がないように、9・7代表戦は終了したのだ。
 みんなは成功に喜びながらも、何かしっくりこないものを感じているはずだ。
 それは恒久的な交通アクセス問題の解決に結びついていないからである。
 この問題を解決しない限り、宮城野陸上競技場の代替施設として宮城スタジアムを声を大にして言うことは決してできない。これは誰もが指摘しているし、ここでも口をすっぱくするほど言ってきた問題である。
 人が町を作り、町が人を育てる。そのための最低限の社会資本は投資しないといけない。宮城スタジアムは社会資本投資が中途半端な状態で終わった故に、生まれながらに傷を負っているのである。
 人が使わない、というか使いたくないスタジアムにしたのは、ほかならぬ宮城県である。辺鄙なところに立派なスタジアムを建てて、さあ使え、と言って誰が使うのか。
 人が町を作るのである。
 そのための最低限必要な手段はたとえ貧乏県とはいえ投資しないといけない。ある意味では、仙台空港アクセス鉄道よりも緊急性があるようにも思える。
 宮城野をつぶすのなら、それなりに使える施設にしなさい。
 そうでなければ宮城県の言い分は弱者いじめの何者でもない。
 ただし、仙台市もそれにあぐらをかいてはいけない。仙台市施工の道路開通が大幅に遅れて、岩切駅から宮城スタジアムに直線的に向かう道はまだできていない。これは仙台市による宮城県への仕返しにも見える。
 仙台市は現状をよく把握しないといけない。宮城野陸上競技場が仙台市に移管したとしても、サブトラックは事実上使えないのだ。代替施設も近くにはそう簡単にはできるわけはない。
 今年宮城スタジアム開催に踏み切った仙台市の陸上競技。
 大きなハードルを越えてしまったからには、仙台市も宮城県と一致協力して宮城スタジアム活用の道を、一方では探らざるを得ない状況になっているのだ。
 両方の施設をうまく利用していく方法は決して簡単ではないが、スポーツ施設としてこれほど多様なものがあるという仙台圏の稀有な状況は、他の県や市から相当にうらやましがられていることを、宮城県、仙台市、それにもちろんそこに住まう者は覚悟しないといけない。
 中学生が気軽にスタジアムに通うことができるような交通アクセスの改善は、宮城スタジアムにとって急務の課題であることは論を待たないのである。
 まさしく、今宮城県と仙台市が直面している宮城野陸上競技場問題にとっての、もうひとつの解決への道でもある。
 ただし、宮城スタジアムの交通アクセスが改善されたといっても宮城野陸上競技場を閉鎖するのは間違いである。そのことはこのページで以前から指摘しているところだ。
【鋭意執筆中】
5.岩切駅ルートは使えるのか?
JRは利府駅に固執するな
 岩切駅からグランディ・21までの直線道路はこの冬にも開通する運びだ。このルート、国体のときに岩切駅シャトルを使って以来のルートとなる。果たして使えるのかどうか。
 上述の気軽なアクセスのひとつとして、また巨大イベントのときの主要交通アクセスとしてどうか検証する。
【鋭意執筆中】