シャトルバス問題
2001/05/31 Revised, 2001/12/30訂補
5/25現在の輸送計画を推進委員会から説明して頂いた。この計画を検証してみよう。
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- 輸送計画の基本
- 全体を 43,000名と考えたときの、各ターミナルに来る観客数の予想数は次の通り。
JR・地下鉄 |
利府 | 6,000 |
国府多賀城 | 4,000 |
多賀城 | 2,000 |
泉中央 | 12,000 |
パーク&バスライド |
泉IC至近(仙台北部) | 6,000 |
夢めっせ(仙台港) | 6,000 |
その他 |
徒歩など | 5,000 |
合計 | 43,000 |
- 上記では各ターミナルに降り立った人は全員シャトルバスに乗り込むことを想定している。だから駅から徒歩で行く人の人数は入っていない。
- 全観客がスタジアムまで入るための所要時間
- 上記の数を元に、ある計算をしてみた。
JR・地下鉄 | 利用人数(人) | 列車1編成(両) | 列車1編成(人) | 最小運転間隔(分) | 全所要時間(分) |
利府 | 6,000 | 6 | 840 | 15 | 108 |
国府多賀城 | 4,000 | 6 | 840 | 8 | 38 |
多賀城 | 2,000 | 4 | 560 | 6 | 22 |
泉中央 | 12,000 | 4 | 560 | 5 | 108 |
1両140人と仮定、最小運転間隔は実績を元に仮定 |
- 上記のように、利府と泉中央では、満員電車が108分連続で到着することを想定することがわかる。
逆に言えば、想定される人数を運ぶには、利府、泉中央では最短108分かかることを示している。大体、2時間とみればいい。
試合はいずれの日も、15:30キックオフ、17:30終了と考えると、各ターミナルから宮城スタジアムの各自の席に着くまで、1時間と見ると、12:00から14:00までと18:30から20:30までの、のべつまくなしの輸送で達成できる。
- 上の表には、あるキー駅が入っていない。それが岩切である。だが、岩切を想定してもそれほど大きな差はない。なぜなら、仙台から満員で来て、一部が岩切で降りるとすると、上記の利府あるいは国府多賀城政庁の人数が岩切に代わるだけであるから、実質上あまり変わらない。
- 有料シャトルバスに誰が乗るのか?
- シャトルバスは無料が当然である。秋季国体の開会式など、国体の観客輸送は無料シャトルバスが基本である。どうしてもこれと比較してしまうだろう。
- それ以前に、スタジアム入場券を持っていれば、それに行くだけのシャトルバスは無料と考える人が多いだろう。日本人のように思いもかけぬ出費に文句も言わず支払う人は海外にはそうたくさんいるとは思えない。
- 推進局が言う、輸送基本計画が円滑に実行されるためには、無料でないと破綻するのは明かである。シャトルバス乗車口で、各国語で文句を言われ畳みかけられたら、無料にせざるをえないだろう。
- 元々有料化は無理な相談なのだ。
- 交通アクセスの問題をまじめに考えてこなかったつけが今まわっているのだ。
- いつ、ファンやサポーターはスタジアム入りするのか?
- たとえば、日本の代表戦。我々がスタジアムに入るのはいつか?
多くの人は応援のために、どんなに遅くても、1時間程度前に入るだろう。
- たとえば、日本の代表戦。試合後、我々が目指すのはなにか?
多くの人は勝利の美酒か、悔し酒を呑みたいと思うだろう。
- というわけで、宮城スタジアムに向かうときは、午前の早い時間から三々五々になるし、帰りは集中するのは避けられない。
とすると、宮城スタジアムに向かうときは、シャトルバスではなくて、利府まで来て歩くパターンが多いのではないか。
逆に帰りは早く一杯やりたいからシャトルバスが混むのではないか、と思われる。
さらに、行きも帰りも同じルートというのはあまり考えられない。
これは試合結果によって大きく左右されるだろうし、帰りは空いているところに集中するのである。
- 仙台を起点と考えて本当にいいのか?
- さて、上記の机上の空論の大前提は、「仙台起点」である。
- 6/9,12の、いずれも第2戦に該当する。
6/9は、6日も前に、札幌と新潟で戦ってきたチームであり、サポーターは少なくとも前日には宮城県入りしている。6/12は、5日も前に、札幌と神戸で戦ってきたチームであり、6/18の決勝トーナメント1回戦は、5日前韓国の水原かソウルで、4日前静岡か大阪で戦ってきたチームである。だから、サポーターは遅くとも前日には宮城県している。
- 外国から来た人には、日本に自宅はないのだから、4〜6日、宮城で遊んでいたって不思議ではない。
もちろん、各国代表の動きに忠実だから、キャンプ地に行っている可能性は高いが、代表も遅くとも前日には宮城県入りするから、ファン・サポーターも前日以前から宮城県入りしているのは当然である。
- とすれば、仙台起点という考え方は、すでにおかしいではないだろうか。
- 各国のサポーターは前日には利府入りしているかもしれないのだ。
私なら、遅くとも前日には自分が行くべき、サッカー場の下見にいく。
まして日本には個人の行動を制限する法律はない。だからこそ、ワールドカップ前日、サポーターがどういう行動をしようが、それは勝手なのだ。
さらにいえば、チケットを手に入れたサポーターには、チケット記載のこと以外のことに従う義務はないし、それを押しつけることはできない。
- 結局、ファンやサポーターの多くは前日あるいは当日の朝早く、利府入りするのである。
- 彼らの泊まるところはどこなのか?
4年に一度のお祭りのために、蓄えてきた、なけなしのお金で来た日本である。
ホテルや旅館に泊まる者は、むしろ少数派ではないか。たとえ、泊まったとしても安い宿であろう。駅寝(えきね)や野宿あるいはキャンプが多いのではなかろうか。この辺りは、こっちで取り扱っているので、参照されたい。
- 昨年のキリンカップ実績
- 表は昨年のキリンカップ時の観客の流れ(往路のみ。大分合同新聞より)である。
JR&徒歩 | 岩切・利府 | 3,600 |
シャトルバス | 仙台 | 4,091 |
多賀城 | 1,000 |
臨時バス | 利府駅 | 1,227 |
ツアーバス | 500 |
自動車 | スタジアム周辺 | 11,340 |
遊休地駐車場 | 7,875 |
周辺施設駐車 | 4,700 |
その他 | 自転車、バイク、送迎 | 11,498 |
合計 | 45,831 |
- 自動車利用が全体の52.2%に達したところが特徴的である。一方、ツアーバスも含めたバス全体とJR駅から徒歩の比は、2:1であり、シャトルバスが機能していなかったこともわかる。
- シャトルバスは有効に使われるか?
- キリンカップ実績に対して、ワールドカップ時の輸送計画(一番上の表)では、「JR・地下鉄&シャトルバス」と「その他(徒歩など)」の比は、5:1に設定してある。自動車(P&BR)は全体の28%にすぎない。
- これは可能な数字なのか、である。
- いかにも駅からの徒歩利用の数が少ないと思わざるを得ない。私なら、長蛇の列を作って待っているシャトルバス乗り場には向かわずに、歩く方を選ぶ。時間がもったいない。
- 試合終了後のシャトルバス発車は大丈夫か?
- さらに、キリンカップ時の試合終了後のシャトルバス発車状況を見ると、仙台行の4,500人(復路)をさばくのに、1時間以上かかっていた。今回はキリンカップ時のバス利用者(約6,500人)の6倍の人数(38,000人)が殺到するのである。
- これを効率よくさばくというのか。よほど綿密な計画と準備がない限り、混乱の極みとなることは必須である。
- 38,000人ということは、バス1台で60人としても、640台程度のバスが必要なのだ。
- 試合終了後の混乱は避けられないのは確かである。
- とすれば、多くの人は歩くだろう。まだ、18時前なのだ。明るいし、天気が良ければ坂を下る方向に歩くのもいいだろう。
バス発車をおとなしく待つのは、恐らく日本人だけではないだろうか。
- 動線分離の原則とは
- さらに県は、動線分離の原則を打ち出している。これは、対戦する国のファン/サポーター同士が互いに接触しないようにする、というものである。
- 具体的には、たとえば、メインスタンドとサイドスタンド東と、バックスタンドとサイドスタンド西の2つに分け、それぞれの席のチケットを持つ者を、仙台駅で分離して、前者は泉中央に、後者は利府・多賀城政庁・多賀城に行け、と指示する、というものである。
- 仙台駅で動線分離をすることが可能か?
- 4万人あまりの観客を仙台駅で分離する、というのは、考えただけで不可能に近い。
- そもそも、一般客とどう区別するのか、という問題がある。
恐らく、前々日からファン/サポーターは仙台駅にやってくる。
- 次にいろんな情報を得て、宮城に来るわけで、自分が行きたい経路もあるだろう。
- さらには、とっとと新幹線から在来線、あるいは在来線から在来線に乗り換える人もいるだろう。
- 動線分離は結構だが、これもかなり入念に計画し準備しておかないと厳しい。
むろん、JR東日本の協力なくしては全く不可能なことである。
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