「史上最大のメガイベントの当事者になるために」
広瀬一郎 ((株)スポーツ・ナビゲーション代表取締役)

当事者:3種類
1.サッカーに関係する人
 選手、審判など
2.ビジネスとしてのワールドカップ
 JAWOC、電通、メディアなど
3.祝祭としてのワールドカップ
ほとんどの人は3。
日本国内10箇所の開催地の住民は、いわば氏子。
七夕まつりでも、氏子である仙台市民が楽しまなければ、よそから来た人も楽しめない。
盛り上がらない理由はなにか。
みなさんがワールドカップを呼んでいない。
日本サッカー協会が呼んだ。
日本サッカー協会の目的
  • 1.プロ化
  • 2.W杯を呼ぶ
みんなは決定に参加してない。
なのにワールドカップは来てしまった。
日本サッカー協会の目的ははっきりしている。
強化推進委員会 加藤久さん→ほとんど成功している。
ワールドカップは税金でやっているのに、くやしくないか?
その金、返せ!?
オブセッション(妄想)はやめよう。
盛り上がるように盛り上がろう。
開催地によって盛り上がり方が異なってもかまわない。
ベースラインを上げよう。
全部をひっくるめてのベースライン。
ワールドカップは、いわば追いつけ追い越せ。
ベースラインがついていけないのに、同じように盛り上がるのは無理。
オブセッションはやめよう。
無理は止めよう。
1995/11/4 招致活動
FIFA委員がソウルから成田についた
鹿島スタジアムに行く。アントラーズvsセレッソ。
招致委員会は日本の選手の技術力が向上したことを見せたかった。
FIFA委員はピッチを見ていない。観客を見ていた。
日本人が金にならないことにがんばっていること、ナイターの試合に、女性、子供たちが大勢いること、に驚いていた。
世界の人の日本人感
・ ビジネスマン(金儲け)
・ 観光客(買い物)
金を稼ぐか使うか、そういう人々
金に関係のないことに騒ぐ日本人にショックを受けた。イメージが結びつかなかった。
1964東京オリンピックと2002ワールドカップを比較しよう。
オリンピックで、日本の製品の品質の高さとアピールしたい。
1970年代、GDPが先進諸国に追いつく。所定の目的に達したが、やりすぎて、バブルを向かえる。1980-90年、日本人はまだ完成していない感じ。
2002で違うベクトルを目指さないか。
2002でいかに、いいかげんにやるか。
それで日本人を見る目が変わる。
きっちりやらない方がいい。
当事者の2と3で分かれる。
長野オリンピック。何もおこらなかったことが、当事者2は満足。
NAWOCがIOCに聖火リレーの説明に行った。細部にわたって説明の末、IOCは尋ねた「それで?」NAWOCは当惑した。何が抜けていたか。PRである。
事件が起こらない方がいい 当事者2
事件が起こった方がいい 当事者3
この間で立場がかわる。
祭りでは計算できないことが起こるものだ。
仕事とイベントは違う。
全く予想外のことがおこるところは何か。全く関わらないと事件は起こらない。
どうせなら、おどらにゃ、そんそん→勝手連をつくる。
勝手連:
  • 1.公式な人たちに頼らない
  • 2.公式側に絶対に迷惑をかけない
たとえば、2002FIFAワールドカップという名前を使うと抵触するからダメ。
ワールドカップはok。2002もok。公式側はFIFA、JAWOCと契約関係にあるから、契約書に縛られる。でも、勝手連は法律だけに縛られる。
公式な人から、指摘されたら、一言「本当ですか?」と言えばよい。
迷惑をかけないけど、盛り上がる。
ワールドカップを招致した自治体の責任
  • 1.ワールドカップを宮城に誘致した目的は何か、問いただそう。
    公式な目的は情報開示される。目的が、宮城のスポーツ振興につながる、としたら、スポーツ振興の中身の説明責任がある。それを問いただそう。
  • 2.さらに、その達成度はどうか。ワールドカップが終わったあと、どうなったのか。
    達成度について誰が責任をとるのか、はっきりさせる。
    仕事をやる人たちは官僚。
    目的を明示しろ、評価基準を明示しろ。
    責任をとるための基準をはっきりさせること。
  • 3.競わせる
    開催地毎に評価基準を設けて競わせよう。
    地域振興とは何か、チェックポイントをつける。
    地域振興の予算とスポーツは結びついていない。そこで、自治省に評価基準を作らせる。
    社会工学研究所が10のカテゴリー
勝手連:
1.地域振興とは何のことをいっているのか。中間発表しよう。よくできているのはどこの開催地か。
つまり、開催地格付けをする。
2.インターネット、i-modeで地図を作る。
主張を入れよう。車椅子の人たちの動線の地図。レイヤーを作りたい。仙台→スタジアムだけではなく、いろんなところに車椅子で行ける動線を描く。
勝手連の目的
  • 1. PR 外へのベクトル
  • 2. インナープロモーション
     宮城県民の何%がかかわるか。自分たちの側のidentityを確認する
  • 3. 自分たちで発信したい情報をつくる
  • 4. システムとしてのインフラを作ろう
     建物はできた。これを動かすシステムを作ろう
2002年我々は目指したもののここまで、達成した、と。


「祝祭としてのワールドカップ、日常としてのフットボール」
宇都宮徹壱 (写真家、ノンフィクション・ライター)
「史上最大のメガイベントの当事者になるために」
広瀬一郎 ((株)スポーツ・ナビゲーション代表取締役)
「2002年への想像力」座談会
宇都宮徹壱、広瀬一郎、鈴木武和((株)東北ハンドレッド育成部育成部長)

執筆責任者:村松淳司