サポーター新世紀
2002年の客人(まれびと)たち
講演会: 2001/2/25(日)13:00-16:00 メディアテーク1階

講演要旨

「祝祭としてのワールドカップ、日常としてのフットボール」
宇都宮徹壱 (写真家、ノンフィクション・ライター)
「史上最大のメガイベントの当事者になるために」
広瀬一郎 ((株)スポーツ・ナビゲーション代表取締役)
「2002年への想像力」座談会
宇都宮徹壱、広瀬一郎、鈴木武和((株)東北ハンドレッド育成部育成部長)

講演記録は、村松淳司がとりました。
間違い、意見は、私までお願いします。

「祝祭としてのワールドカップ、日常としてのフットボール」
宇都宮徹壱 (写真家、ノンフィクション・ライター)

  • 選手を追いかけるよりも、サポーターを撮りたかった。それが始まり。
  • スタジアムの外側の世界が必要だ。
  • W杯とは何か。
    The Cupブータン
    チベット仏教とワールドカップとの対比と融合が興味深い
    高僧がある僧にワールドカップとは何か、と問う場面がある。僧はこう答えた。
    「杯をかけて、2つの文明がたたかう」ところだ、と。
    4年に一度の人類の祭典
    テレビでは、400万人が視聴するだろう。日本は遠いから行かないというがそんなことはない。この機会だから、日本に行ってみたい、そういう人が多いだろう。
    日本に来ると、食事、酒、眠る。
    ゲストの立場からすると、インフラだけでは満足しない。トータルな部分を楽しみたいと思う。2002年に出会うのは、選手ではなく、サポーターなんおだ。理解すべきはサポーターである。
    異文化を受け入れる、ということ。
    どういう対応をとったらいいのか。
    (写真を見せながら解説)
    サポーターの何を理解するか。
    • 1.ファッション:どこからやってきたか、すぐわかる。
    • 2.音楽:踊ったり歌ったり
    • 3.国旗:必ず国旗とともにある。民族の印、誇り、生活の一部
    • 4.ユニフォーム:代表と同じユニフォームを着る
  • 宮城にやってきたらどうなるか
    日常はどう変わるのか。
    ユーロ2000のアイントホーヘン(イングランド−ポルトガル)
    イングランドのサポーター
    サポーターは自分だけのモラルを持ち込んでくる。
    駅前で酒盛りを始める。
    ゴミだらけ。
    町中が国旗で埋め尽くされる。
    代表と同じ空気を吸いたい、だから、スタジアムにやってくる。
    チケットを持っていない人への対応が必要。
    国歌斉唱はメロディーになっていないほど。立ち上がって、手を振って表現する。
    敗戦したあとのイングランドサポーターの列車には国旗があった。
  • フットボール文化
    ワールドカップの方にしか目が向いていない。
    ホームタウン。おらが町のクラブ。
    日本ではまだまだ未熟である。
    文化とは、civilization、つまり、市民が参加することである。カルチャーだけではない。
    各国の国内リーグの状況
    • クロアチアのスタジアム。1911年設立のクラブ。5000人ほどの小さなスタジアム。だが、おらが町のクラブ。選手とサポーターが一緒に食事できるバーがある。
    • マンチェスターユナイテッド。1878年鉄道に勤める人が中心にできた伝統あるクラブ。SIR MATT BUSBY通り。クラブは町とともにある。14:25で止まったままの時計。1958年のミュンヘンの悲劇=飛行機事故で選手が8名志望した。クラブは10年の間、低迷したが、10年後の復活した。事件を知らない若い人へ、確実に伝わっている。
    • ボスニア・ヘルツェゴビナ。セルビア人。ピクシーが名古屋グランパスで活躍。セルビア人は東京の次に名古屋を知っている。
    • ポーランド、ワルシャワ。戦争でもなんでもなく、ただ放っておかれた競技場。サッカーよりも生きるための生活が必要だった。日本では、どうなるか。
    • ドイツ、ベルリン。3部のクラブですら、社交場がある。スタンドは埋め尽くされ、みんなが顔見知りである。これが、おらが町のクラブ。
    • ベガルタ仙台は、おらが町のクラブになるか。それがポイント。
    来年にはワールドカップがやってくる。
    やってくるサポーターは何を求めているか。
    果たしてインフラだけで喜んでくれるか。
    全く違った視点を求めるだろう。
  • サポーター同士の交流
    オランダ・メキシコ。揃ってトーナメントに進出。サポーターがともに踊り出す。
    対戦するサポーターを分けるのはどうか。騒いでも騒いでも大丈夫な場所を用意する。
    キャンプ。パリ郊外にシャワー付きのキャンプ場を用意した。野営をしている。
    ワイン、食べ物を交換したりする。
    お金をあまりもたないでくる。ホテルに泊まるお金など持たないで来る。
    キャンプ地を提供すべきだ。何らかの用意をする必要がある。
    3位決定戦。クロアチア人が集まるバー。スタジアムに入れない人のフォローが必要。
    ファイナル。パリのシャルベッティ競技場。

    大型スクリーンで決勝戦を上映。非常に多くの人が集まった。
    日本で東京ドームや国立競技場でそれができるか。開放できるか。
    サポーターが引き上げた後、我々の心に何が残るのか。
  • ワールドカップはやってくる。
    多くの人は決して試合を見ることはできない。
    日本人、宮城県民にとって最大のカルチャーショックなのだ。
    やってきたサポーターは、宮城は初めての日本。宮城=日本なのだ。
    本当に楽しかった、と思って帰ってくれることが最も大切だ。宮城は本当にいいところだった、と、本国に帰ってからみんなに伝えてくれるだろう。
    逆だったらどうだろう。最低の国だよ、日本は、と言われる。
    日本を代表する気構えが必要。
    一人一人が日本の代表である。
    当事者意識をもっともつ必要がある。


「祝祭としてのワールドカップ、日常としてのフットボール」
宇都宮徹壱 (写真家、ノンフィクション・ライター)
「史上最大のメガイベントの当事者になるために」
広瀬一郎 ((株)スポーツ・ナビゲーション代表取締役)
「2002年への想像力」座談会
宇都宮徹壱、広瀬一郎、鈴木武和((株)東北ハンドレッド育成部育成部長)

執筆責任者:村松淳司